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No.19 富士山 ~敗退~/2010年8月20日
【 交通ルート 】

自宅 [ 茨城県南 ] → 常磐道 → 首都高 → 中央道・河口湖IC →
富士スバルライン → 富士山5合目付近の路傍駐車場

【 山行ルート 】

富士吉田口 → 6合目 → 下山

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金曜日は、わかなちゃんと富士山に登ってきました!

いままでの山行は、富士山のための予行練習だったといっても過言ではないほどに楽しみにしていた富士登山♪前日の夜は、いよいよ日本一の山に到達できるワクワク感でいっぱいでした。

予定としては、早朝に富士山に着いて、夕方に予約していた山小屋「東洋館」でハンバーグメニューを食べ、そこで1泊して御来光を拝んだ後に山頂を目指し、お鉢めぐりをして下山するという、「ゆったりタイプ」の計画を組んでいました。

 
 

この日は、僕の中では1年の集大成、一大ビッグイベントだったのです!

朝3時半起床。4時20分出発。

常磐道から首都高を通って中央道へ。河口湖IC で降りて、有料道路の富士スバルラインで5合目まで一気に突っ走ります。有料道を通るのになんと通行料が2000円もかかります。

4合目を超えて、5合目付近まできたら、交通整備員の方が「5合目の駐車場はいっぱいだからここで停めて無料シャトルバスを利用してください」というので、車を路傍駐車場に停めます。

結構、広めの駐車場なのできちんと場所さえ選べば、車をぶつけられることもないと思います。道路側は、車も走っているし、歩行者も歩くので、できるだけ奥の方に停めたほうが良いでしょう。かといって、崖側は、落石・転落の恐れがあるので避けましょう。去年、落石が車に落ちてきて亡くなった方もいたので念のため。

駐車場に停めた時点ですでに雲の上にいます。



駐車場に車を停め、少し先のバス亭まで歩きます。15分おきにやってくる無料シャトルバスを待ち、5合目まで連れて行ってもらいます。

五合目に到着。高山病予防のためにお土産を見たり、アイスを食べたりして、1時間以上、高度に体を慣らします。わかなちゃんは、富士山のハンコを押していました。

金剛杖が売っていましたが、どう考えても荷物になるし、使いづらそうだなぁと思ったので買いませんでした。トレッキングポールのほうが確実に使いやすいでしょう。



目の前には、すでに富士山の頂上が見えています。



午前9時半、出発。「自然はわれらを われらは自然を」の門をくぐってスタートです。



わかなちゃんは、歩幅を狭くして、ゆっくりっゆっくりと深呼吸をしながら登って行きます。

15分ぐらい歩くと、富士吉田口への分岐点が現れます。富士山の登山口は4つあり、ひとつは吉田口、そして、須走口御殿場口富士宮口とあります。

その中で吉田口は、登山者にもっとも歩かれているポピュラーな登山道です。今夜泊まる予定の東洋館は、吉田口方面にあります。



途中までは、登山道と下山道が同じ道なので、登る人もいれば疲れ果てて下ってくる人もいます。中には、確実に足を痛めたであろう人、後ろ向きに歩きながら坂道の負担を軽減しているであろう人、だらだらと歩く人、ゴール目前にしてテンションがあがっている人、馬に乗って降りてくる人など、いろいろな人を見かけます。

これから登りはじめる人も、だら~んとしたリュックで荷物を肩で背負ってるひともいたりして、あれじゃ頂上まで登るのはつらいだろうなぁ~と思いながらみていました。

僕は、32リットルのザックで行く予定でしたが、わかなちゃんの荷物を軽減するためにも、レインウェア、防寒着、着替え以外の荷物は僕が持つことにしたので、32リットルでは入りきらないのです!

かといって、40~45リットルぐらいの中途半端なザックは持っていないので、仕方ないので58リットルのテント泊用のザックで行くことにしました。

最初は大きすぎるかな!?と思ったけど、意外と十分な大きさでした。少し、空きがあるぐらいのほうが荷物の出し入れがしやすいし、必要なものも探しやすいと思いました。

ただ、収納のバランス(重心)が悪くならないように、背中の位置に重いものを配置し、下のほうにはできるだけ軽いものを配置しました。そして、空いたスペースは、ベルトでキュッキュッと締めてリュックを潰します。

こんなに重たそうなザックを持ってる人はいないかもな~と思いましたが、意外とそうでもなく、僕よりも重そうなザックを背負ってるひとも結構、見かけました。

登山道と下山道の分岐点にさしかかりました。



午前10時半。6合目に到着~♪

トイレ休憩に行きます。トイレ利用は、チップ制で200円です。トイレは、仮設トイレなので狭くて汚いです。中には虫がたくさんいるし、ここでトイレはしたくない感じ…。でも、次のトイレがいつくるかわからないので、入れるときに入っておきます。

午後12時。雲を抜けたのか、あたりはすっかり晴れてきて展望がひらけてきました。風が気持ち良い~☆ 遠くには、山中湖が見えていました。



この辺りから次第に斜度がきつくなってきました。空気が薄くなってきていることがはっきりと感じ取れます。

わかなちゃんの息も荒くなってきて、ジグザグの曲がり角がくるたびに休憩するようになってきました。山小屋には、17時までに到着できれば良いので、ペースを乱さないよう、わかなちゃんのペースでゆっくりと登っていきました。

富士山では、団体客が多く、30人以上を引き連れた団体登山客に幾度となくすれ違いました。登山者の列が途切れることなく、数分に1回は必ず下山者とすれ違います。

登山道はしっかりと整備されているので、難所といえる箇所はなく、修行僧のようにひたすら上へジグザグに進んでいきます。

午後12時10分。ようやく山小屋群が見えてきました。1番下に見えるのが、「花木屋」と書いて「はなごや」という山小屋。東洋館はどれだろうか。花木屋から数えて7番目の山小屋なので、もうすでに見えているのかもしれません。

こうして連なった山小屋群を見ていると、ギリシャで行ったデルフィ遺跡を思い出します。



さらに高度をあげて登っていくうちに、つらそうにしていたわかなちゃんの足取りがついに止まりました。

頭が痛くなり、吐き気をもよおすようになります。休憩しているだけなのに心臓がバクバク鳴っていると言います。



頭痛、吐き気、動悸、息切れ。あぁ、これはもう典型的な高山病に間違いないなと思いました。花小屋の高度が2700m なので、わかなちゃんが限界を感じた地点はおよそ2600m地点。

わかなちゃんに、これ以上は登れないかどうかを聞き、もう無理そうだったのでここで下山することを決意しました。

高山病は誰でもかかる病気。最悪、死に至ることもある病気です。かかりやすい人は、1800m~2500m付近でその症状が発生します。特に、心肺機能があまり強くないわかなちゃんにとっては、2600m 地点で高山病にかかってもまったく不思議はないのです。

よく考えたら、標高1823m の赤城山(黒檜山)に登ったときですら、わかなちゃんはかなり息があがっていたので、高山病になりやすいかもしれない予兆は感じていました。それだけに、富士山に登るにあたって万が一のために酸素缶も用意しました。

しかし、その酸素缶もまったく効果がないようでした。高山病の症状がではじめたら、治すためには高度を下げるしかありません。僕は、山小屋の東洋館にキャンセルの電話を入れ、わかなちゃんと一緒に下山することにしました。

頂上までいけずに、いまにも悔し泣きしそうなわかなちゃんの顔を見るのはつらかったです。登ってくる登山者がいなければ、きっと赤城山のときのように半べそをかきながら降りていったことでしょう。

去年は山小屋の予約が取れずに、挑戦できずに終わりました。今年は、挑戦することはできましたが志半ばで頓挫しました。また、来年くればいいじゃないか。生きてさえいれば何度だって挑戦できるんだ。

僕も上まで登りたい気持ちはすごく強かったけど、富士山だけは2人で登らなきゃ登る意味がないんだ。脱落者が出ればみんなで降りる、これが山の掟なんだ。

上に登ってくる登山者を尻目に、僕らは富士山に別れをつげました。わかなちゃんの症状は、高度を下げるごとに症状が回復していき、だんだんと笑う元気もでてきて僕もちょっとうれしくなりました。

最初にくぐった門を再びくぐったとき、あきらめて吹っ切れたはずの僕も悔しい気持ちでいっぱいになりました。頭ではわかっていても、やっぱり最後まで登りたかっという気持ちが頭を支配し、次第に元気がなくなっていきました。

お土産屋さんで、無言でゴボウを買い(なぜゴボウ…笑)、静かに駐車場まで戻りました。もはや、わかなちゃんを思いやってあげることもできず、完全に意気消沈してしまったのは僕の方でした(笑)。

車で下山中、あまりの眠さに4合目の無料駐車場で2人で爆睡してしまいます。よっぽど眠かったのか、ふたりとも3時間半ぐらい寝てしまい、起きたら17時40分。

あらかじめ、わかなちゃんが調べてくれていた、ほうとう屋さんが19時までということで、急いで下山してそのお店を目指します。

そして、到着したのが「ほうとう不動」。テレビでも紹介されたお店だそうです。外観のデザインがとてもオシャレです。


店内もオシャレです。




そして、2人で「ほうとう不動」を頼みました。具はそんなに多くはなかったけど、とてもおいしかったです♪ わかなちゃんは、グルメのときだけはすごく元気になります(笑)。



19時。ふたりともぐったりと疲れて帰路につきます。ここから150Km の道のり、精神的にとてもつらく、ほとんどなにもしゃべった記憶がありません(笑)。

なにかを達成したあとなら、帰りも晴れやかな気分で帰れるのですが、なにも達成できずに骨折り損のくたびれもうけみたいな感じになると、最後まで尾をひいてしまうのは、わかなちゃんよりもどうやら、僕の方だったみたいです。

富士山から降りてくる途中、2人の親子がいて、その子供がしきりに「登りたいよ~~」とぐずっている姿を見かけました。お父さんは必死に子供をなだめ、ひきかえすように説得していましたが、子供は融通がきかないようでいつまでもお父さんを困らせていました。

あの子供を見ながら思いました。

僕も子供と同レベルなんだな、と。

さらに疲れて休憩していると、団体さんが立ち止まってガイドさんが登山客に高山病の説明をしていました。

「高山病の予防策は、1.歩幅を小さく 2. 水分をこまめに摂る 3.深呼吸をする!」といってました。

高山病で降りてきたわれわれにとってなんてタイムリーな瞬間に立ち会ってしまったんだと思いました。そのぐらいのことは普通にやってたんですけどね。

山をやる以上、山に敗退することがこれからも起こりうるわけで、もう少し、僕も大人にならなきゃいけないなっと反省した1日でした。

家に帰ってくるや否や、普段はすぐに後片付けする僕ですが、片付ける元気もなく、風呂に入ってバタンと布団に倒れこみ、朝までぐっすり寝てしまいました。

その間、わかなちゃんは洗濯ものを洗ってくれていたみたいです。そして、ピトッとくっついて僕の手をつないで寝たそうです。

次の日、わかなちゃんは、ちゃっかり良妻ぶりをアピールしていました(笑)。

富士山に登頂できなかったけど、楽しい1日だったな♪
また来年も行きたいねっ!

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